身近な生きものと知り合っていくこと

数日前だったか、おとなりの家のツツジの枝にシジュウカラがちょこんととまって、茶色っぽい紙袋(?)みたいなものをくわえているのを見かけました。小鳥の体にほどよい大きさの紙袋でした(小鳥が、小鳥用のお店へ買物に行ってなにか買って帰って来たとしたら持っているであろう大きさ)。

 

それを足で支え持って、袋ごと、くちばしでかじって食べていました。シジュウカラはいつもはひまわりの種を足で持って、コンコンコンと枝に打ちつけてから、中身を食べています。それ以外のものを食べているのを見たのは初めてでした。

 

なんだろう、あの紙袋みたいなものは、と思ってから少しして、カマキリの卵かな?と思い当たりました。

 

そしてさっき、もらったきり読んでいなかった『にほんのいきもの暦』(日本生態協会著)をふいっと読みたくなって、ページをめくると、ちょうど今の季節のページ(立春から雨水までの期間のページ)に、オオカマキリの卵の写真が載っていて、その説明に「目ざとい鳥が……食べてしまうことがあります」と書いてありました。やっぱりあれはカマキリの卵だったんだなあ、とわかりました。

 

この本は、太陰太陽暦(二十四節気・七十二候)に沿って身近な日本のいきものが紹介されていて、季節のめぐりを通して身近な生きものと知り合っていく助けになる1冊です。最初のページは「立春」から始まります。なので、ちょうど「立春」と「雨水」のあいだの時期にあたる今は、この本とのおつきあいを始める「旬」かもしれないです(今年の「雨水」はグレゴリオ暦の2月19日)。

 

ゆっくり少しずつ、身近な生きものと知り合っていくのは楽しいし、直観的コミュニケーションの練習にもなります。予備知識を持たずに、まず直接生きものたちと接してから、そのなかで得た情報をあとで図鑑や本で確認するのがおすすめです。(今回のシジュウカラのカマキリの卵は、見た目で推測できることだったので、直観的コミュニケーションの練習だったわけではありませんが)。

 

特定の「種」について全般的な情報を得るには、そこにいる生身の個体にアクセスするのではない方法もあります(異種間コミュニケーターのAnna Breytenbachさんが教えてくださった方法です)。これについては「練習のヒント」ページに近々アップしようと思いますが、この場合も、そこで得た情報を、あとで図鑑や本で確認するとよいです。

 

直観的コミュニケーションで得た情報は、ウラを取ることが大切です。ウラが取れると、次第に自分の中の批評家や懐疑主義者の声を鎮めていくことになるからです。

 

自分は知りようもなかった、もしくは思ってもみなかった、ということが事実通りだったとき、「実体験」という土の中から「信頼」という芽が出ます。直観的コミュニケーションはとかくふわふわした、地に足のつかない領域という印象になりがちなので、地道なウラ取りはほんとうに大切にしたいものです。