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直観的異種間コミュ・シンポジウムを経て

5月初めの、カナダ・サスカチュワン大学でオンライン開催された直観的異種間コミュニケーションの国際シンポジウムのこと、ようやく書いておけそうに感じるので、少しだけ書いてみます。

シンポジウム直後には 、自分の中で地殻変動?が起きた感じがしていて、言葉にするとすると、内なる海の底に沈んでた大陸が姿を現したようで、そこに足をつけて立ってみることができた感じで。。そこから眺めた世界の景色に、まだ馴染みきってなくて、心底嬉しくて心強いのと同時になぜか鬱みたいな感じもあって、わけわからないことになっていました。

そんななか、これだけは書き留めておきたいと、シンポジウム直後に書き留めたことの1つが、ユーコン先住民とアラスカ先住民の末裔であるエルダー、ジョー・コパージャックさんが”考案”した、土地計画の際のステークホルダー間の関係構築に用いるモデルのこと。これを目にできたことは大きな喜びでした。

“土地計画の際のステークホルダー”には、先住民の方々も、開発業者や地方自治体の方々も、その地に暮らしている生き物や水や土、空気などの「声なき者」も含まれていて。この「声なき者」の声もちゃんと聴かれ尊重されるような仕組みになっています。

この関わりあいのモデルは、respect(尊重)、care(思いやり)、share(分かち合い)を三原則としていて、そして西洋的科学知識と先住民の叡智を、「川の両岸にそれぞれあるもの」と位置づけ、2つを織り混ぜることはせず、それぞれがそれぞれの場所にあるまま、時に、川幅が細くなっている場所では橋をかけることができる、としています。

このモデルを発表してから、先住民でない人々から、このモデルを採用してさまざなプロジェクトに取り組みたいという連絡が殺到するようになって、すでにいくつものプロジェクトがこのモデルによっていい感じに進んでいるそうでした。具体的なプロジェクトもいくつか挙げてくださってて、とても希望を感じた。

コパージャックさんは、このモデルが先住民でない人からそこまで歓迎され求められるようになるとは想定してなかったそうで、公表してから最初の数ヶ月は求められぶりに戸惑った、とおっしゃってました。でもあるとき、ふと、リスペクト、思いやり、分かち合いは、そもそもすべての人が心の底で共通して求めていることだからだー、とガッテンいったそうでした。

この関わりあいのモデルでは、対話の場に「声なき者」の席を物理的に設けます。たとえば、ユーコンの土地計画にまつわる対話の場に、熊(グリズリーベア)が参加する場合、熊の写真をその席に置く。で、その場にいる人全員が(先住民の人も先住民でない人も)、紙と鉛筆を持って、熊の声を聞く意図を持つ。そして心に降ってきたことを書き留める。ここでのポイントは、「考えず、想像せず、感じること」。そのあと、まとめ役の人が書き留められた紙束に目を通して、メッセージを総括します。

Land and Peoples Relationship Modelという名で呼ばれているこのモデル、コパージャックさんは自分が考案したわけではない、と言いました。この土地の生き物たち・先祖たちから受け取ったものなんです、と。

詳細はコパージャックさんのサイトを見てください:https://www.respectcareshare.ca/model

コパージャックさんは英語で話してたけど、話し方や静かな間合いは親しみと安心感があって、まるで日本語で聞いてたかのような印象だったのも、不思議でした。

シンポジウムでは、先住民の方々がほかにも参加されてたのだけど、その方々のお話の端々の部分(メイントピックではない部分)にも、気を引かれた。「自分はどこから来た者かを常にわかっていないといけない、と祖母はいつも言っていて‥‥」というところとか。

(そういえば、今回のシンポジウムそのものにも「声なき者」のなかから参加者を募っていて、熊、シダ、トンボ、海亀が参加してくださっていたのだけど、その熊、シダ、トンボ、海亀、それぞれの声をみんなで聞いてみた時、トンボからは「視界の端にあるもの」というメッセージをいただいていたこと、思い出しました。)

先住民のストーリーテラーの方がバッファローのストーリーをお話しくださったことも、深々と印象に残っています。お話を聞く中で、聞き手にトランスフォーメーションが起きるようになっている、そんな語りの仕方でした。

シンポジウムには直観的異種間コミュニケーションを職業にしている方々、学術研究に取り組む方々が大勢参加していて、体験や研究成果をシェアしながらのパネルディスカッションもどれもすばらしかった。。ほんとうに、地に足がついていて、多様な生きものへの誠実さと熟考にあふれていました。

#iicsymposium2023 #landandpeoplesrelationshipmodel